かわいい薔薇にはご注意!!
その1

入学式


「…よし、バッチリ」

髪をアイロンでストレートにして

制服の肩についた埃を払う。


桜田 莉乃 16歳

今日から憧れの久瀬ノ高校の1年生。

すっごくきれいな学校でお城みたいなんだ。

そんな学校でこれから過ごすと思うと

それだけで1生分の幸せ!


「りのー、遅かったね」

私の部屋の前で待ってたお姉ちゃんが

私の準備が終わったのを確認して入ってきた。

お姉ちゃん、気合入ってるなぁ。

マスカラをバシッときめて、

ピンク色のリップを塗っている。

いつもは「素が大事よ」って言ってるのに。

「今日は派手なんだね」

「派手ぇ?これでも軽いほうだよ」

ええ!そうなんだ!

私、メイクしたことないからなぁ。

「りのはもう高校生なんだから

メイクぐらいちゃんとできるようになんな」

「はぁーい」



うちは2年前に両親亡くしてて、

1度は、『親戚の家に行く』

…っていう話もあったんだけど

お姉ちゃんが

「私とりのの2人だけで生きていけます」

っていってくれたんだ。

だからお姉ちゃんが保護者ってことになった。

人見知りで寂しがりやな私をいつも

「りーの、ほら大丈夫」

ってやさしく撫でてくれた。

でも、そんな生活はもう終わり。

今日からは私は寮生活だし、

お姉ちゃんは結婚してるから

旦那さんと今日から一緒。

私的にすごくホッとしてる。

だって、やっとお姉ちゃんが

幸せになってくれるんだから。

















「うー、りのが高校生かぁ」

今日は入学式だから

保護者のお姉ちゃんと2人で登校。

「そうだよ、立派な高校生」

私が得意げに胸を張ると、

「寮生活がさびしくて泣きついてくんなよ」

なんて冷たくいわれ…

うっ…どうしよう。

不安になってきたっていったら、

「2人部屋なんだもん、大丈夫だよ」

と、やさしくいってくれた。

そんな会話をしてるうちに学校に着いたんだけど…

人がだれもいない。

え?どうしよう。

< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop