叶多とあたし

今日とあの日。



「日芽ー!バイバーイ」

校舎の玄関をでたところで上から声が降ってきた。


クラスメイトであった。



六年生になって、クラス替えで初めて同じクラスになった彼女とは、まだクラスメイトの域を超えない。




「バイバーイ!」



だが、大きく手を振った。



なんとなくだが、彼女とは仲良くやっていけそうな気がするのだ。


彼女の名前は、中村エリコ。





そんな他愛もない日常の一部である今日は、小学六年生になったばかりの春。






これからあたしはいつものように、当然に、あたしの家に帰るつもりであった。






< 39 / 67 >

この作品をシェア

pagetop