「今日で三学期も終わりだが来年度は受験もありー…。」


先生の言う通り今日はもう二年生の終わりの日である。

来年でもう高校生活は終わってしまうのだ。

その前に私の心配はクラス替えだ。

せっかくこのクラスで志賀と野村くんという友達ができたのにもしかしたら離れてしまう可能性があるのだ。

そうなったらいやだなあ。

そんなことを考えていたら先生のお話は終わっていた。

小さく息を吐いて席を立つ。


「水城―。」

「何?」


私を呼ぶ志賀の声。

その方に視線を向けると、ロッカーの前にしゃがんでこちらを見ている志賀がいた。

どうしたの、と尋ねながら歩いていくとそこには大量の教科書やプリントが山積みになっていた。


「な、なにこれ…。」

「今日持ち帰るもの。」


苦笑しながら言う彼に私も苦笑を返す。


「手伝って?」

「言うと思った―。」


仕方なく私もしゃがんで手伝いを始める。

とりあえず大量にあるプリントを要るものと要らないものに分ける作業を始める。

このロッカーの中にどうやったらこんなにも大量の物を詰め込んでおけたのだろう。

四次元空間…?


「何で分担して持って帰らないの!?何この量!」

「佐奈ちゃん怒らないでよー。」

「うっさいぼけ。そういえば野村くんは?」


いつもは志賀と一緒に帰っているはずの野村くんが今日は見当たらない。

どこに行ったのだろう。


「あ?侑也なら今日は先に帰った。」

「なんで?いつも一緒に帰ってるじゃん。」


私がそう返せば志賀は少し驚いたような顔をした。

その表情をされたことに私は驚く。


「水城、知らねえの?あいつ彼女いるんだよ。今日記念日だかなんだかで一緒に飯食いにいくんだとさ。」

「そうなの?まあ彼女の一人や二人いてもおかしくないよね。野村くんかっこいいから。」

「いや、二人いたらだめだろう。」


一時間ほどかけて全て分け終えて、私たちは志賀の机まで持ち帰るものを運ぶ。

それでも結構な量があった。


「これ一人で持ち帰られるの?」

「頑張れば行けるだろ。まじで助かった!ありがとう!」


鞄の中に詰め込みながら言う志賀。

それがまた適当でちょっと代わって、と彼の代わりに鞄の中に教科書を入れ始める。


「まじで水城すげえな。」

「なにが?」

「できる女って感じ。」

「普通でしょ。」


本当に感心している志賀に笑って言えば、そんなもん?と返された。

私は志賀がだらしないだけに思えるけどな。


「そういえばさ、この間野村くんになんで志賀は私なんかと仲良くしてくれるんだろう、って聞いたんだけどさ。」


ふと思い出したことを恐る恐る聞いたら志賀の眉間にしわが寄った気がした。


「それ、何で侑也に聞いたんだよ。」

「え…?いや、特に理由はないけど…。」

「で、侑也なんて言ってた?」

「自分と似てるからじゃないかなって。でも私その意味がよく分からなくて。」


志賀の口からため息が漏れたのが分かった。

聞いちゃいけないこと聞いちゃったのかな。


「ごめん、言いたくないこと聞いたよね。気にしなくていいよ。帰ろうか。」

「待って。」

「ん?」

「…俺の家、来ない?」

「…は?」


どうしてそうなった。