「ねえ、最近水城さん志賀くんと仲良くない?」
「分かる。うざいよね。」
「どうせまたヤったりしたんじゃない?」
「うわー、まじ最低!」
女の子特有の甲高い笑い声が聞こえた。
彼女たちの言う通り最近私は志賀と仲がいい。
と言うより一方的に話しかけられる。
「水城!」
ほら、また。
最近知ったのだがどうやら志賀はかなり人気らしい。
だから女子たちは余計に騒ぎ立てるのだ。
「何?私と話してると変な噂流されるからやめた方がいいよ?」
「そんなの気にしねぇよ。今日一緒に昼飯食おう。」
「えー。」
「不満かよ。どうせ一人で食うんだろ?」
「そうだけどさあ。」
変な噂を流されても私は慣れているから大丈夫だけど、志賀は困るだろう。
そんなことを心配しながら遠まわしに断ろうとしたら志賀は誰かを大声で呼んでいた。
「何、大記。」
志賀の下の名前って大記って言うんだ。
覚えておこう。
耳に入った名前を頭に入れると志賀に呼ばれていた人がこちらに歩いてきた。
「今日の飯水城も一緒でいいだろ?」
「いいけど、珍しいね。大記が女の子誘うなんて。」
「こいつ、なんかほっとけなくて。」
悲しそうに眉を下げる志賀にそっか、と相手の男子も眉を下げる。
なんか空気が重い。
「水城、どうせお前のことだからこいつの名前分かんねえだろ。」
どうしてわかったんだこの人、という目で彼を見るとやっぱりな、と返される。
やっぱりってなんだ。私だって覚えてる人いるんだから。
「野村侑也です。よろしく。」
「よ、よろしく。」
にこやかに笑った野村くんはものすごく爽やかだった。
志賀は名前を言い終えた野村くんにこいつ、クラスの奴多分俺と侑也しか知らねえぞ?と笑って言っていた。
するとちょうど四時間目が始まるのを知らせるチャイムが鳴り、先生が教室に入ってくる。
「じゃ、覚えとけよ。」
「わかったよ。」
自分の席に座った志賀はすぐに隣の席の女子に話しかけられていた。
私じゃなくてほかの子とお昼食べればいいのに。