SoUnD~僕らの世界~

「雅、帰ろう?帰って練習しないと、私たちどんどん遅れてっちゃうから。」


紗奈の方に視線を戻すと、ファミレスを出る準備をしていた。


俺も自分のカバンを持ってギターを背負い、未那を残してファミレスを出た。



外に出ると紗奈が歩くのをやめた。


「紗奈?」


「雅、私ね・・・」


「ん?」



「雅の歌声、すっごく好きなの。」



「・・・おう。」


「だから、練習。歌もギターも同じくらい頑張ってね!」


「あぁ。わかってる。じゃぁまた明日な。」


「うん。また、明日。」



そして俺たちはお互いの家がある方へ歩き出した。



家に帰っている途中も、俺は未那のことをずっと考えていた。


あの後、未那は家に帰ったんだろうか。


あの男の人は、彼氏、だったんだろうか。




でも、そんなこと、俺には関係ない。


そのはずなのに、俺の心の中は何かモヤモヤした気持ちでいっぱいだった。



部屋でギターの練習をしても、歌の練習をしても、宿題をしても、俺の頭の中は未那のことでいっぱいだった。


「・・・未那。」


今日知ったばかりの未那の名前。

また明日、呼べるだろうか。


そしたら、未那は笑ってくれるんだろうか。


そんなわけ、ないか・・・。


だって俺は・・・ただの『知り合い』だから・・・。



でも、このモヤモヤは、なんなんだ・・・。


この日また俺は、一睡もできなかった。


< 39 / 290 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop