花咲く頃に

腐った花ビラ


受信メール


Date:2012年2月4日23時38分
From:まぁちゃん
Sud:無題
―――――――――――――――――
なんで返信くれないの…………?

無視しないでよ…

    - END -



 …はぁ
 またきたか。

「待ってよ、まお…」
「ずっと一緒にいよっていったじゃん…」
「本気で結婚のこと考えてたのに…」
「約束したじゃん…」

 毎日毎日まぁちゃん…マヒロから30件以上のメールがくる。
 マヒロ、14歳はあたしの現在の彼氏。
 ぶさいくってわけでもなく、ナルシストでうるさい人だ。

 付き合ったきっかけだって単純だ。

 …あたしがただ彼氏を作りたかっただけ。遊び半分。

 まぁちゃんの家に行けば毎回キスしないといけない。
「まお〜かわいいからキスしたい」
 甘ったるい声で最初は求められる。

 だんだん強制になってくる。
「キスしよ〜」「キスしよ〜」
 はっきりいって、大好きだったけどしつこくてひいてた。

 部活が終わってから毎日一緒に帰ってた。

 一緒に帰らないと怒られたりもした。

 途中の公園の前で立ち止まって会話するのがお決まりになってた。そこでもキスを求められる。

「一回だけでいいからしよ!」
 首をふって断ると、怒って帰るふりをするか、悲しい顔して泣き出すかのどっちかだ。

『…めんどくさいやつと付き合っちゃったなぁ』
 反省した。


 他にもたくさんたくさんあった。

 メール適当に返したら怒ってくる。

 男友達と話するだけで問い詰めてくる。

 キスを断ると泣いてくる。
 とにかく、束縛がはんぱなかった。

 勉強中もメールしないと「俺とメールしたくないの…?」
って、めんどくさい。

 耐えられない。
 もう無理。
 疲れた。

 あたしの心に"恋しい"なんて感情は静かに消えていった。
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