はじめの一歩

入学式〜智沙SIDE〜

この世がキライ。
この世の中の全てがキライ。
わたしってどうしてここに生まれたんだろう?楽しいことのないこの世をどうして生きなきゃダメなんだろう?

今日は高校の入学式。
「あっ、智沙おはよう♪」
「おはよう。」
この子は、わたしがわたしが1番信頼している友達の雪。
この高校に入った理由も雪が行くって言ったから。それ以外に理由なんてない。
そもそも、なんで学校なんて行かなきゃ行けないの?まぁ、家にいるより何倍もいいけどね。

わたしは、一般の高校生だよ。
学校も行って、友達もいる。
じゃあ、どうして悩んでるかって?それは、また今度。

1-B。ここがわたしの教室ね…。
教室のドアを開ける。ハァ。雪とはクラス別々だしっ。きっとこれからいいことなんて一つもおきないよ。
席についたとたん、男が集まってきた。
「君、何て名前?可愛いいね。」って。
男はみんな、そういう。みんな、本当のわたしを知らない。
わたしは男たちを無視して教室を出た。
「雪!」廊下に立っている雪を呼んだ。
「智沙?どうしたの?」
「うちの教室の男たちが集まってくるんだよ…。」
「…それってさぁ、智沙が可愛いからじゃない?」
「え?意味わかんない。」
「智沙って鈍感だね。」そう言ってクスッと笑う。いや、天然の雪に言われたくないわっ。でもそれは、あえて言わないことにしとく。
「あっ雪!今日、一緒に帰れる?」
「あっゴメン。今日、彼氏とデートだからっ」
「そっか。」
「ごめんね。智沙。」
「ううん。」彼氏か…。わたしにはきっと無理。

家に帰ると…
「ただいま。」
また、返事がない。
いいよ。どうせわたしなんか…
お兄ちゃんは羨ましいよ。
お母さんのお気に入りで。わたしは、いつもお母さんの道具だもん。
ストレス解消の道具。
だから、わたしは悩んでいるんだ。わたしを愛する人が誰もいないんだ。
だから、いつもなんでここに生まれてきたんだろうって思うんだ。
でも、わたしには死ぬ勇気も何もないから死ねないんだ。
それで、わたしは思うんだ。
きっとわたしは、幸せになれないってね。
だから雪みたいに彼氏もできない。
だってわたしに、人を好きになる資格も愛される資格もないもん。
わたしってひねくれてるでしょ?
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop