シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

翻弄 櫂Side

 櫂Side
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金翅鳥(ガルーダ)が猛炎を吐き散らし、虚構の舞台は、赤と言うよりも黄金に煌めく。


本当に…緋狭さんの偽者が操っているのかと疑いたくなる程の、激しく…華やかな炎の乱舞。


クアアアアア!!!


この狂乱じみた金翅鳥(ガルーダ)は――

本物なのか。

それともこれも贋物なんだろうか。


何1つ確証が得られぬまま、俺達は枷の素材により、超常的な力を一切禁じられ、結界すら張れない状況にあった。

緋狭さんもどきオニの攻撃から逃れる為には、自らの肉体1つでよけきらないといけない。

体目がけて執拗に追う、金翅鳥(ガルーダ)の炎を躱(かわ)すだけでかなり辛いのに、移動するには…先に宣言された青色を触っていかねばならない。


石畳の青色は本当にランダム模様。


隣り合わせに位置していると思えば、突如消え去り…まるで行き止まりに直面した迷路の中にて迷走しているようで。

しかも時間が経てば、金翅鳥(ガルーダ)に燃やされる。

ある一定時期が来て、炎が鎮火するのを待つしかなさそうだ。


色のある場所は様々だ。

石畳の他にも、店の屋根や出店などでも該当色があれば対象となる。

色取り取りの風船もある。

だが、石畳を踏みながら手で該当色の風船を触っては駄目だ。

風船に手で触れる為には、足は地面から離れ、宙に飛んでいないといけない。


途中ニノに確認したが、俺達が触れことが出来るのは必ず体の一カ所のみで、例え別場所にある青色であろうと、手と足というような、複数の同時接触は認められない。

とすれば、金翅鳥(ガルーダ)から逃げる最中、次の到着地点を常に頭に入れて、体の動きを考えていかねばならないんだ。

ただ足だけ動かして、地面を移動すればいいわけではない。

そうしていたら必ず行き詰まる。

次の道を模索する、先を読む力も必要だ。


手も指も…動かせる全ての部分は体の支軸に必要で、重要な移動手段になる。


動きが制限されるこの中では――

好きなように体を動かすことが出来ず、如何に肉体を捩(よじ)って次に繋げるかが鍵となる。


肉体の隅々まで動かさねばならない。


かろうじて…10秒の考える猶予があるだけ、マシだが。


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