シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

相殺 玲Side

 玲Side
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回転式弾倉(シリンダー)を有した、回転式拳銃(リボルバー)。

連射できるダブルアクション式は、命中精度が落ちるという欠点がある。


それにも…僕は救われたのだろう。

芹霞が犠牲になる要因が減ったのだから。


命中精度が高い狙撃銃などで、複数で集中射撃でもされれば、今頃僕は芹霞の屍を抱いて、発狂していたかもしれない。


回転式拳銃(リボルバー)を叩き落としても、透過したままの景色は崩れない。

何処までも見えない敵の姿。

それでも戦えば、存在している感触は身体が感じる。


僕が戦っているのはどの組織の者なのか。

見えないながらも乱戦状態である僕は、特定できるまでの敵のクセを見抜けない。

しかし…組み手の感じからして、紫堂の警護団ではなさそうだ。

身内だからと甘くなりがちだけれど、違うのなら容赦しない。


僕は膨れ上がる数を、速さでもって制圧にかかる。

多分、トラックの…この派手派手しい荷台の中に、沢山の"刺客"が潜んでいたのだろう。


そしてトラックの運転席や助手席からも窓が開き、同様の回転式拳銃(リボルバー)の銃口が車体に向けられていて。

僕は相手をしていた奴から回転式拳銃(リボルバー)を奪い、窓ごと乱射する。


「銃でも割れない…強化硝子ね…」


塾の入り口の…割れなかった硝子を思い出し、腹立たしくなる。

関係があるのだろうか。


天板に落ちる回転式拳銃(リボルバー)を足で払い落とし、僕は目を瞑って戦う。

なまじ見える目があるせいで、見えない視覚と触れられる触覚が齟齬を起こしそうな気がしたんだ。

五感は統制しないといけない。


ああ、僕が相手をしているのは何処の者だ?



自警団?

制裁者(アリス)?

黄幡会?

紫堂で感じた妙な気配に属する者?


或いは…

「皇城の手の者?」


僕達を鎌倉に運ぼうとしているのなら、その可能性も拭い去れない。


だが姿を見せずにいられる術などあるのか。

そこまで皇城の陰陽道は、優れているのか?


何故こうも姿を隠すことが出来るのか僕には判らない。


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