【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
--バン!
大きな音を立ててドアを閉めると
「お前、朝から煩いのは目覚ましだけにしとけって」
後ろから聞こえた声に、勢い良く顔を向けた。
そこには当たり前かのように椎名冬夜が居て。
「はぁ!? なんで居んの!?」
自分で出した大きな声が頭に響いて、またクラッとしてしまう。
「うるせぇな。もう少し静かにしろよ」
「……」
確かにその通り、なんだけど。
なんかムカツク。
「で。何で、そこに居るの?」
もう一度聞きなおすと隣のドアを指差し、
「俺ん家、隣なんだけど」
「知ってるわよ」
「で、出口あっちなわけ」
今度は反対側を指差す。
「何当たり前の事言ってるの?」
んな事、あんたより前から住んでるんだから知ってるわ!
どんどん眉間に皺のよるあたしの顔を見て椎名冬夜は、はぁ。とわざとらしく溜息を吐くと
「ここは通り道。だから俺が通るのは当たり前」
そう馬鹿にした顔で言われた。