猫が好き!


「あの時高校生だって言ってたから、それが嘘じゃなかったら、あんたのとこの子犬ちゃんと同じくらいに成長してるわね」
「でもシンヤは私がつけた名前だよ?」
「別に同一人物だとは思わないけど、ちょっと思い出したのよ」


 そう言って少し微笑むと、瑞希は席を立った。


「そろそろ仕事に戻らなきゃ。最近ハルコの機嫌が悪いから余計な仕事が増えてるのよ」


 瑞希特有の擬人化表現だろうが、恋をしたり不機嫌になったり、おもしろいコンピュータだ。

 苦笑する真純に手を振って、瑞希はカフェを出て行った。

 瑞希と別れた真純は、書類を持って家に帰る。

 リビングを覗くとシンヤの姿はなかった。
 掃除道具は片付けられている。
 声をかけて部屋を覗いたが、そこにもシンヤはいなかった。

 合い鍵は渡してある。
 鍵がかけられていたという事は、どこかに出かけたのかもしれない。

 さして疑問にも思わず、真純は書類を持って仕事部屋に入った。


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