猫が好き!


 年齢のギャップか、性格の不一致か、苛立つ事が多いのに、なぜか憎めない。
 見放してしまえない。


「こんなとこで寝たら、身体中痛くなるよ」


 身体を揺すってみたが、電池切れのシンヤは動かない。

 無理矢理たたき起こすしかないかと考えながら、シンヤの寝顔を見つめる。
 唇に目が止まりドキリとした。
 先ほどの事が思い出されて、顔が熱くなる。

 さっき唇をかすめたのは、シンヤの唇だったのだろうか。

 ただ、かすめただけなのに、唇かどうかも分からないのに、胸の鼓動が収まらない。

 やはり苛つく奴だ。
 こんなに人の心を乱しておいて、自分だけ幸せそうに眠ってしまうなんて。

 真純はシンヤを見下ろして、その頭をコツンと小突いた。


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