溺愛ごっこ

Third

パフュームの曲が聞こえる。

確かこの曲、携帯電話の着信音にしてるヤツだったような…。

寝ぼけながら枕元の携帯電話に手を伸ばした。

「――もしもし?」

「亜美か?」

彼氏の声に寝ぼけていた意識が戻された。

「…何の用?」

聞きたくなかった。

昨日のことももちろんある。

何より、
「彼氏?」

涅槃像のポーズをしている久世が小さな声で聞いてきた。

場所も場所。

格好も格好。

全てに置いて、今は都合が悪過ぎる。
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