部屋の中を見渡してもミユの姿はどこにもない。
 ジンは急いで出入り口の扉を開け、部屋の外を確認した。
 ちょうど出くわした侍女に聞くと、部屋から出て行った者は誰もいないという。
 不審者はおろかミユ本人さえも。

 狐につままれたような気分で部屋に戻った時、ライが手招きをした。


「どうした?」
「何か聞こえないか?」


 言われて耳をすます。
 微かに壁を叩くような、くぐもった鈍い音がした。
 部屋の一番奥から聞こえるようだ。


「壁の向こうからだ」


 ジンはライと共に一番奥にある書棚に駆け寄った。
耳を近づけると、壁を叩く音と共にミユの声が聞こえた。

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