君と、世界の果てで
(1)広すぎた空
陸の残したガラクタを処分して。
正月には、実家に帰った。
喪中だからか、例年より静かな、まったりした正月だった。
親父は、母親から話を聞いたのか、聞いてないのかわからないが。
紗江やバンドの事には何も触れなかった。
そして。
何故か俺は、またここにいる。
海辺の家に。
2週間ほど暮らしてみたら、意外と一人でいるのが快適な事に気づいたのだ。
「ヨシ」
卒論発表の準備も終わった。
ノートパソコンを閉じて、コーヒーを淹れるため、腰を上げた。
冬休みも、もう終わりだ。
早く、決着をつけなくては。
そう思った瞬間、ビー、ビーと携帯が鳴った。
「もしもし……あぁ。……わかった」
ついに来た。
紗江からの呼び出しだ。
コンロの火を止めて、コートを羽織って。
吸っていた煙草を片手に、家を出た。