君と、世界の果てで
(4)愛してる
「はい、今うちにいます。
遅くならないように帰しますから」
深音の母親は、何度も礼を言って、電話を切った。
「また……染めたのか」
「うん……これが地の色なの。
一昨日の検査でね、ちょっと悪くなってるって、言われて。
急に入院して、髪の毛プリンのまま死ぬのやだ、とか思って」
茶色に染めて、少しカットした髪をいじりながら、てへ、と笑う。
まるで、生徒指導を受けただけのような顔で。
「あ、テレビ見たよ。
クールだったな。
あたしも何気に美人とか言われてたね。
照れるなー」
いつも通りに振る舞う深音をソファに座らせ、自分も横に座った。
「そうだ、火傷は大丈夫?」
「……大丈夫だ。
それより、お前……」
「良かった。ベース弾けなくならなくて。
あたしが死んだら、皮膚あげるから移植してね。
あ、色が違いすぎるか。困ったね」
「……やめろって」