君と、世界の果てで

(4)愛してる



「はい、今うちにいます。

遅くならないように帰しますから」



深音の母親は、何度も礼を言って、電話を切った。



「また……染めたのか」


「うん……これが地の色なの。

一昨日の検査でね、ちょっと悪くなってるって、言われて。

急に入院して、髪の毛プリンのまま死ぬのやだ、とか思って」



茶色に染めて、少しカットした髪をいじりながら、てへ、と笑う。


まるで、生徒指導を受けただけのような顔で。



「あ、テレビ見たよ。

クールだったな。

あたしも何気に美人とか言われてたね。

照れるなー」



いつも通りに振る舞う深音をソファに座らせ、自分も横に座った。



「そうだ、火傷は大丈夫?」


「……大丈夫だ。

それより、お前……」


「良かった。ベース弾けなくならなくて。

あたしが死んだら、皮膚あげるから移植してね。

あ、色が違いすぎるか。困ったね」


「……やめろって」


< 321 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop