これからの季節に~新雪初めて踏むきもち~【完】
サヤカは、おじいちゃんの所に、その鏡を抱えて行った。
「じいちゃん!これ凄い」
「その前にほれ、おこずかい」
「あ、はあい」
300円だった。おじいちゃんは言った。
「それは、不思議な鏡で、サヤカが見つめていると、いつか出会える人が見える鏡なんだよ」
「え?いつか出会える人って何?」
「何でも、サヤカが会いたい人らしいよ」
「じゃああたし毎日見つめる!」
「それ、きれいだから、布とかで磨いたらどう?」
「毎日磨く!」
「そうそうそう、サヤカはそうそうそう…。その鏡をあげるよ」
そうしてサヤカは、あたたかな風が吹く春にそのきれいな鏡を貰ったのだった。
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