アメアガリ
teardrop

*1




雨、が止まない。


高校に入学して早2ヶ月。

通学路の桜並木の木々には、桜の花びらの跡形もなく散って、ただ無残に水たまりが広がる。

その上をあたしは重い足取りで歩く。


【大平 梨奈】


コースケの想い、が

聞こえてくるようで、怖い。

でも聞きたい。


コースケはあたしのことどう思ってる?


そんなの、聞いても返ってこない答え。

雨に伝えて

風に乗って

あたしまで伝えてほしい。


………コースケ、


つぶやいてもやっぱり返ってこない。

返ってくるはずない。


だって、

コースケはいないのだから。








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