「おいしい……」


五十嵐さんが持参してくれたお鍋には、具だくさんのクリームシチューが入っていた。
それと一緒に持ってきてくれたのは、フランスパンと数種類のパン。
近くのパン屋で買ってきてくれたものらしい。

この間のお好み焼きといい、私が帰ってこなかったらどう処理したんだろうって思うけど、今日のこのタイミングは正直嬉しかった。
温かいシチューが傷心に染み込む。


「よかった。作ってから、アレルギーとかあったらどうしようかと思って心配になってたんだ」
「アレルギーなんてないです。鈍感だから」
「そうかな。葉月は鈍感じゃないと思うけど」
「なんでですか?」
「葉月はすぐ顔に出るから分かる。
この間は疲れた顔してたし、今日は傷ついた顔してる。
鈍感だったらそんな顔しないよ」


優しく微笑む五十嵐さんを凝視するのは危険だ。
タイミングがタイミングだけにうっかり泣きそうになっちゃうから。


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