美しい翼を持った飛べない天使

暗黙の紫雲。

「青太郎くん」

「あ、ありがとう」

翌朝、差し入れを渡す。

「昼に戴くわ」

「…うんっ」

水雪の弁当は家庭的な弁当で

青太郎はやたらと自慢してくる。

1人廊下を歩いていると美翼が

横に並ぶ。

「青くん、紫之ちゃんのこと

好きだよねー」

「あんまり突っつくなよ?」

「分かってますよーだ」

「お前も進歩しろよ?

…!?」

俺はゴミ箱の前で立ち止まる。

「ちょっと急に止まってどうしたの?」

「これ…水雪の弁当?」

「…嘘」

ゴミ箱には崩れた水雪の弁当が

捨てられていた。
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