シンデレラタイム
シンデレラタイム
夢なら早く覚めてほしいと思った。



弁護士の女友達が用意してくれたダイヤのネックレスにイヤリング。

女医の友人が用意してくれたのが、有名ブランドのディナードレス。

そして友人に言われるままに自腹をはたいていった美容院でセットした髪型と、あか抜けたメイク。





「ねぇ、彼氏いるの?」

私は「うん」と頷きかけて、友人に脇腹を思いきり肘鉄食らわされた。



ひどい。ひどすぎる……。



声のでない私を、彼は心配そうに覗き込んでいる。

目の前に置いていたカクテルは辛うじて倒さずにすんで、ほっとした。

「い、いません」

友人に睨まれて、私はそう言うしかなかった。
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