ふしだらな誘惑
ふしだらな誘惑

「このあと、一緒に飲まないか?」


それが全ての始まりだった。
それは仕事終わりの金曜日。
何気ない忘年会の帰りだった。

タクシー待ちをしていたあたしを、呆気なくお持ち帰りをした彼。


マルイ食品株式会社。
営業部課長、高瀬悠斗。


強引に乗せられたタクシーの車内、彼は真っ直ぐな視線であたしの手に振れた。


「このまま君を持ち帰る」


信じられなかった。

――まさか、課長が?

酔いが回った感覚の中、あたしは一言も声が出せないまま課長の腕に抱きとめられる。

「嫌なら逃げなさい。今のうちだ」


そう言いながらも、あたしをあっという間に自身のマンションまで連れてきた課長は、ずるい…

硬派なマスクに、大人の色気…

そのまま情熱的に抱きしめられたあたしは

まるで意識が飛んだ様に、彼の背中に腕を回していた。


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