土曜日の夜は中央図書館に行く。

孝雄と待ち合わせるためだ。

二年前から付き合い始めた彼は、デザイン会社に勤めていて、図書館をよく利用する。

あたしはそれに付き合う形で、閉館までの時間を潰すのだ。

 彼に声をかけてから、二階にあがる。書架の森を抜け、柱の影から、窓に面した机を覗く。

 今日もいた。

 短く刈りあげた髪に、縁なしの眼鏡、のりの効いたYシャツにスラックス。未だ学生のように若々しい、三十手前の男が椅子に座っていた。

彼は寛いだ様子で文庫本に目を落している。