ベンチに腰を下ろした彼はジュースの缶を無造作にミサキに差し出した。ランニング中のサッカー部員達がこちらを見てニヤニヤしているが、そんなことに頓着する様子はない。
「こんなところで会うなんて、偶然ですね~」
……センパイ、私、上手く笑えていますか? ここでボールを追うあなたに声援を送っていたあの日のように……
 ここへきたのは偶然を装って会うため。サッカーが大好きだった、そんなあなたが夢の全てを手放すことなど出来ないことを知っているから……恋する女の浅知恵。