ブスも精一杯毎日を生きてるんです。
…温かい。
血と消毒液と、男物の香水の匂い。
その全てに一瞬にして包まれた。
なんでこんなにも、他人の腕に包まれるという行為には、安心感があるのだろう。
自然と、涙は止まっていた。
男は私が大人しくなったのが分かる、と私に回していた左腕を解いた。
「…お腹すいたからチョコ食べる。」
そういうが速いか、立ち上がり、冷蔵庫に駆け込む。
『あ、ちょ…』
チョコは私がケーキにしました、と最後までいう猶予はなかった。
が、彼はチョコレートケーキをしっかりと見つけたようで、
「あ、なにこれ。…これお前が作ったの?」