初恋メランコリック






そう重い足取りでリビングへ向かう





「…おかえり、湊」




「ただいま。茉奈ちゃんいないみたいだけど、どうかしたの?」





そう、リビングを見渡す限り茉奈ちゃんがいない


光輝も当てもなく茉奈ちゃんを探しているようだ

梨紅は呑気にテレビを見ているし、葵はソファで悠長にマンガを読んでいるから、そう危ない目にはあっていないんだろうけど





「……あぁ、茉奈なら多分凛のトコだろうけど?」



「ふぅん…」





そう適当に返事を返して、自分の部屋に戻ろうと廊下に出る

すると、




「たっだいまーー!お待ちかねの千尋様のお帰りですよーっ」





いきなり千尋が玄関から颯爽と現れたのだ


手には何やら買い物袋を下げている
相変わらず騒がしいなぁ



ただでさえ凛がダウンしてるっていうのに。
これはやっぱり、千尋を先に帰さなくてよかった





「おかえり千尋、」




「ただいま早乙女センパイっ!ところで、俺のかわいい凛たん知らない?」




「うん、とても不愉快だからとりあえず黙ってそこに座っててくれません?」




「えぇっ、なんでいきなり敬語!?今の俺、敬語使うほどそんなにウザかった!?」




「…うーん、そこがウザい!」




「あっ、ハイ……」





やっとおとなしくなった千尋


帰ってきて早々うるさいのは勘弁だ
正直言いすぎかと思ったけれど、千尋はこれくらいが丁度いいだろう








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