たっぷりのカフェラテをあなたと
「そんな事言っててさー……その健吾さんて人、本当に大丈夫なのぉ?」

 エステ仲間の君嶋美由紀がそんな事を言いながらブラックコーヒーをすする。
 彼女も絶対クリームは摂取しない派で、当然の事ながらスリムなボディをキープしている。
 美由紀と私の違いを言うとすれば……彼女はミルクが最初から好きではないという事だ。

「大丈夫だよ。あんなに穏やかでいい人いないもん」

 健吾さんにケチをつけられた気がして、ちょっと面白くない気分になる。
 そんな私を見て、美由紀はクスッと笑う。

「案外前の男よりのめり込んだりしてね」
「どういう意味?」

 自分はそんな情熱的な気持ちで健吾さんに夢中になっている意識はないけど、美由紀からはちょっと違うように見えるみたいだ。

「どん底を救ってくれた男の魅力って、後になってジワジワくるからね~」
「……そうなのかな」
 
 まだ湯気を立ち昇らせているコーヒーのマグを抱えて、少し考える。
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