河の流れは絶えず~和泉編~
其の弐 初めての日

ひとつ

今日はその、約束した土曜日だった。

朝から講義が集中してあるので、いつもより早く大学へ向かった。

3時限目には俺が敬愛して止まない小山内(おさない)教授の講義があり、教授のゼミを選択している俺にとってははずせない時間だ。

小山内教授の専門は社会学で特に社会心理学という方面に食指を伸ばしておられて、歴史学も専攻している俺には興味の対象だった。

また、教授の人柄も素晴らしく、教授に惚れている学生はかなりいた。

だが、この先生にはひとつだけ悪癖がある。

この上なく、抜き打ちの試験が大好きなのである。

これに泣かされている学生はかなりいて、俺も初めのころはこてんぱんにやられた。

しかし、今では通常のやりかた、勉強の進め方では対処できないことがわかり、この抜き打ちのおかげでだいぶ勉強のやり方をみにつけたし、試験の多さで膨大な知識を得ることができた。
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