あの頃のように
「あ、なんだ。

じゃあ、夕飯誘ってもよかったんだ」

「え?」


ユカは驚いたように目を丸くして。


「ああ、うん」


それから、どこか意外そうにうなずいた。


その表情の意味に気づくのに数秒かかった。


(――あ、しまった。

俺ってホント自分のことしか考えてないな)


またしても自分の馬鹿さ加減にあきれる。

お父さんが入院してるんだ。ユカは俺と夕飯どころじゃないだろうに。


「……入院って、いつから?」

「1年くらい前から」

「え、ずっと?」

「ううん。何度か入退院を繰り返してる」

「そうなんだ……。大変なんだね」

< 54 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop