キモチの欠片
戸惑うキモチ
……ん、頭が痛い気がする。
ぼんやりした意識の中、ゆっくりと目を開けると視界に入ってきたのはまだ薄暗い部屋。
視線をさ迷わせると見覚えのない天井がそこにあった。
必要最低限の物しかない殺風景な部屋に寝ぼけていた脳が一気に覚醒する。
あれ?ここはあたしの部屋じゃない。
いったいあたしはどこにいるんだろう。
それよりさっきから隣に人の温もりがあり、そこから寝息が聞こえるのは幻聴かな?
その正体を確かめるのが怖い。
どうしよう、確認する?
部屋の雰囲気からして女の部屋じゃないことは確か。
ここは間違いなく男の部屋だ。
ちょっと考えてみよう。
昨日は合コンに行って、その帰りに朔ちゃんに会ったんだ。
その後、葵とタクシーに乗って……どうしたんだっけ?
グダグダ考えても仕方ない。
恐る恐る首の向きを変えると、その人物を見て息をのんだ。
「あ、葵っ?」
身体をあたしの方に向けて寝ている葵がいた。