勇者様、魔王様と旅をする ぷれ編
壱 勇者様、魔王討伐す。


魔王=悪


なんて方程式が当たり前なこの時代。


可愛い子には旅させよなんていう教えの両親が私、ジユリル・レイクトスに魔王討伐を命令してきました。


「___は?」

「やだもうっ!ジルちゃんったら聞いてなかったの?しょうがない子ねぇ」


いやいやいや、お母様。
貴方はなにを仰っておられたのです?
もう一度、ゆっくりと。


「ジルちゃん、魔王討伐してきて?」


魔王討伐、まおうとうばつ、マオウトウバツ


様々な言葉で変換されていく‘魔王討伐’。
うん、そっかー。
魔王は悪だし、討伐しなきゃいけないんだー。


って!!


「なにのほほんと言ってくれちゃってるんてすか。母さん。父さんも何とか言ってくださいっ!!」


バンっと机を叩いて抗議するも母の横で神妙な顔をしていた父が口を開いた。


「ジル、お前この前の試験傭兵相手にボロ勝ちだったそうじゃないか。」


ギクリ、と体がなる。
なんでっ!黙っていたのに!
さては、クスリノかっ!


母同様のほほんとした外見の、でも実は腹黒く策士である幼なじみの顔を思い浮かべ拳を握る。


「ほら、それに可愛い子には旅させよなんていうだろう?家もそれに乗っ取ってだなぁ。」

「そうよそうよ、ちょうど魔王の首に懸賞金がかかったじゃない、がっぽり稼いできてね。はぁと」


もはや我が家の家計簿を担ってしまう私。
トホホと嘆けばちょうど、武器も新調したのよー!なんていやいや、なんでだっ!

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