椿ノ華



―南十字 椿(みなみじゅうじ つばき)
 19歳



「南十字椿様ですか?」


かつん、と革靴の音が、静かな部屋に響いた。


「…はい」

「南十字啓一郎様の仰せで参りました」

…南十字…?

「あの…何方様でしょうか…?」

「私は、旦那様の秘書でございます」

「旦那様…?」

「はい。貴方様の祖父でいらっしゃいます、

南十字家当主、南十字啓一郎様でございます」

…祖父?



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