PM.16:00。
PM.16:00。
 
「お待たせ、亜子。帰ろ」

「ごめん、早見君。読みたい本があって。図書館いい?」


放課後、PM.16:00。

早見君と下駄箱で待ち合わせて帰ろとした矢先、靴の中に几帳面に折り畳まれた紙を見つけた。

『PM.16:00』

そう書かれた紙には、ひっくり返してみても裏を返してみても何も書いておらず、もちろん差出人の名前も書いていない。

あたしはその紙をさり気なさを装い制服のポケットに忍ばせ、もう一度「いい?」と尋ねた。


「いいけど…そんなに読みたかったら借りて帰ればよくない?」


ここ最近続けてそんなことがあったため、早見君が眉をひそめるのは当たり前のことだ。

それをあたしは「すごく分厚い本だから借りて帰ると重いの」とごまかし、再び校舎に入り、3階の図書館へと向かった。
 

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