さぼてん、開花しました。
トゲ。
「ただいま~♪」

遠くから
ママのご機嫌な声が聞こえる。

どうやら帰ってきたらしい。

何か良いことでも
あったのかやけにご機嫌だ。

「~♪」

歌を口ずさみながら
こっちへ向かってくる。

ガチャッ。


「茄子ただいま~♪...
...って茄子!?ねぇ茄子ってば!!!」


ママがあたしを
必死に呼んでる。

ママ。
あたし、ここにいるぢゃん。

あたしはここに...ん?

違和感と共に
あたしの視界に光が差し込んだ。

「あれ?...」

「もー、やっと起きた!
だらしないんだからぁー。」

ママの呆れた台詞で要約理解した。

どうやらあたしは
いつの間にかソファの上で
寝ちゃってたらしい。

「もう、寝てるから
ビックリしたよー。」

「ごめんなさーい。」
心なしに返答した。


「せっかく茄子に良いもの
買ってきたのにぃ~♪」

そういって
楽しげに微笑むママ。

良いもの?
可愛い洋服?アクセサリー?
好きな歌手のアルバム?

欲しいものはたくさんある。

「良いものって?♪」

そう言って聞き返すと
ママはニンマリ笑って
手を差し出した。


「ぢゃぢゃーんっっ♪♪♪」

差し出されたママの手の上には
サボテンがあった。

そう、サボテン。




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