体育館の天井に挟まっているバレーボール




先輩に別れを告げてから二日。
先輩が引っ越すまであと二十九日。


あれからはずっと先輩に会わないように気をつけて生活をしていた。
だからか、一回も会うことはなかった。

毎日会っていたのに、別れると一回も会わないって、なんか呆気ないな。

そう思いながら私は今も先輩の教室の前を通らないため遠回りして美術室に向かっていた。



「君たち、一体どうしたの?」

第二体育館にはいつものように金髪青目の子がいた。
私は特になんとも言わずにそこを通り過ぎる。

「あの先輩、休み時間の度に君をさがしにここに来るんだけど。ボクは楽しいからいいけど、あの人可哀想だよー。」

そっか、先輩探してくれているんだ。

「ざまあみろ、って言っておいてください。」

「なにそれーっ‼」

ケラケラと彼女は明るく笑っていた。

長年使っていたシャーペンも使えなくなったら特になんの感慨も見せずに捨てる先輩だ。
愛着だとか、未練で私を探しているはずなんかない。
どうせ、貸してたCD返してくれとか、そんな用だろう。

もう少し気持ちが整理できたらCDは返そう、と思った。

びゅうっと、ここ最近では珍しい風が吹く。
あぁ、秋が来ているな、と思った。



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