恋、教えてください!
再会
 昨日、時刻表を携帯で何度も確認した。

 行く道も何度も確認した。

 いや、そもそも三年間、通い続けた通学路だ。

 慌てるな。

 慌てるな。

 渚は慣れないパンプスに苦戦しながらも全速力で昨日、確かめたはずの通学路を走っていた。

 出勤は7時45分の予定で時計は8時を指している。

 確実に遅刻だ。

 駅からタクシーを使おうかと思ったが、肝心な時に駅前にタクシーは停まっていないもので渚は走ることを選択した。

 ちらほらと通学路には登校中の生徒もいる。

「おはようございます」

 自分が先生だと分かると律儀に挨拶をしてくる真面目な生徒もいるが渚は「おはよう!」と短く挨拶するだけで彼らの横を走り抜けた。

『明日は8時に会議室に集合するように』

 学年主任の村上先生の声が耳の奥で聞こえてきたような気がした。

 村上先生、時間には厳しいからな……。

 この時の渚は『先生』
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop