初カレ
「膝どうしたの?」



理由は分かっているけど、がっつり貼られた絆創膏を見て俺は聞いた。



「あー…二人三脚の練習で転んじゃって」

「…大丈夫?」

「うん!あたしトロいから」



夏帆は悪気があって言ってるわけじゃないんだろうけど、あいつのことを庇ってるように聞こえてしまう。



「大げさだよね!あたしは平気だって言ったんだけど、波崎くんが聞いてくれなくて…あ!波崎くんて、一緒にペア組んでる子なんだけどね」



俺の気も知らないで無邪気に話す夏帆にちょっと苛立った。



「あ…!俺、ショップにボード出したの取りに行かなきゃいけないんだった!」



それを遮るように俺は言った。



「そうなんだ…じゃあ、あたしはここでいいよ」



少し残念そうな表情をしたけど、夏帆はそう言って手を振った。
…本当はボードなんて預けてない。
他の男の話をするのを聞いていられなかっただけだ。
今まではこんなことなかったのに。



「……だせぇ」



『他の男の話なんてするな!そいつ夏帆のこと好きなんだぞ』って言っちゃえば楽なんだろうけど、そんなの言えるわけがない。
更に嘘までついて。
自分が小さく感じた。
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