Sion

告白





夕暮れが染める道を希愛は走っていた。
途切れ途切れで苦しいはずの呼吸も肺も那由汰のことを想えば辛くなかった。




ただ、伝えたい。
その一心で走っていた。




ずっと臆病だった。
爽のことがあってからは怖くてたまらなかった。




そんな希愛の心を癒してくれていたのは那由汰だった。
そんな那由汰に対する想いは爽に対する想いとどこか似ていた。




だから怖くなった。
同じことを繰り返すのではないかと。




そう考えると怖くて、距離を置こうとした。
でも、希愛を知ろうとする那由汰からは離れられなくて…




ただいなくならないでと願った。
よく考えれば、那由汰を縛り付けているように思える。




だけど那由汰は約束してくれた。
望む限り、傍にいようと。




そんな那由汰だから心を許した。
信じようと、少しでも守りたいと思った。




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