メインクーンはじゃがいもですか?
酒癖とは、目に見えないことである

【酒癖とは、目に見えないことである】


「誰だよ」

 コオロギだってことはもう分かったが、こいつに五千万のことだけは言えない。

 犯人は誰だか分からないふりをして、修がどこまで情報を握っているのかを探らなければならない。この男がただでその情報を出すとは到底考えられなかった。

「葵ちゃんと一緒になるんなら、教えてあげるって」

「だからなんであいつと一緒にならないといけねーんだよ。そんなアホみたいな話があるか」

 「ほら」

 顎で示した場所を見る霧吹は、肩で大きく脱力した。

 そこには葵がテーブルに片足を乗っけ、次郎にまたしてもぐるんぐるんに絡んでいる姿があった。

 次郎は酒癖の悪い葵の行動に、これ以上酒を飲ませたらヤバイということを察し、懐にビール瓶を抱え、それを奪おうとする葵の腕を必死にかわしていた。

「葵さんやめてくださいよ! いやまじでこれ以上飲んだらやばいですってば。おねがいですからおとなしくしてくださいって。それ以上飲んだらきっとしらふになった時後悔しますよ! 葵さん!!」

 もっともなことを言う次郎に、なんでそんな意地悪なことをするのー! まだぜんぜん酔ってない大丈夫だからー! と必死にビール瓶を奪おうとする。

 次郎は霧吹一人でも大変なのに、こんなに酒癖の悪い葵にいいようにからまれ、その気苦労は計り知れないな。と、さすがの修もそう思わざるをえなかった。


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