たった一つのお願い
第一章

観察1



「――三神(ミカミ)先生――…」



「あ、はい」




平日から休日まで休みはなく、仕事に明け暮れ、この通り大忙しの日々。


昼間はろくにコーヒーを飲む時間もない。




「次の診断の方がお目見えです」



付き添いの看護師にそう言われ、次の患者が入ってくる。

ここは循環器系内科で、俺はそこの医者である。


普段、執刀を担当する俺はこうして患者と話し、どういった症状なのか、これからの検査、治療法について話し合う。


だが、今日の忙しさは今までの比ではない。
なんといっても、一人都合が悪くなり、欠席したため俺が駆り出されたのだ。


……ったく、良い迷惑だ。
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