たった一つのお願い


「あ、宮ちゃん来た!」




俺がこうして通うようになり、彼女もよくこの時間に訪れることを知った。患者さんへの配膳等があるから、いつも俺よりは遅れてくる。




「宮ちゃん宮ちゃん!
これで500羽目だよ!」



「まぁ…完成はもうすぐね」




嬉しそうに笑う彼女に俺もつい頬が緩む。
何故かこの二人を見ていると気が抜けるのだ。




「あ、宮ちゃんもこちらへお座り下さい」




いつもならベッドを挟んで向かい合わせに椅子が置いてあるのだが、昨日の世話役の看護師が移動させたとかで両方とも春陽ちゃんの右側に移動していた。


だから気を遣わないよう、俺は座る事を促したのだが…
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