海賊王子ヒースコート(1)
第八話:夜明けの出航


 思い立ったら即行動な性格の船長、ダリウス。

彼は海軍からセルーデン島行きを強制され、翌日の早朝にガルニカを発つと決めた。

ゆえに、まだ日が昇らない時間帯からブラックエンジェル号では出航に向けての準備で大忙しだ。

「甲板長!サボってないで帆を張んの手伝ってくれよ!!」

「え~、ヒースコートだってサボってんじゃん」

「砲術長はケガしてっからな~。甲板長はピンピンしてんじゃん」

「甲板長がそんなだと、オレらもサボっちまいますよ~?」

「言ったなテメーら!」

甲板長ことレイバンが下っ端達と軽口を叩きあいながらマストの方へと向かう。

そんな光景を横目にヒースコートは溜息を吐き出した。

甲板にいる彼は船縁に寄り掛かり、まだ暗い海を見つめる。


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