『鬼』
壱章【蘭家】
四代名家(よんだいめいか)一の力を誇る蘭家(あららぎけ)。

当主・環の長女として生まれた私は、今日この日をもって、
齢十六となりました。

【約定】通り、四鬼名家(しきめいか)に嫁ぐことが予め決められた人生。

この十六年、父と母に惜しみない愛情を注がれて育ち、
不自由な思いはしませんでした。

双子の弟とも仲良くしてきたし、
親戚や他の名家からも良くして貰い、
悔いが残らないよう色々なことをして過ごしてきました。

【約定】の為、操は守ってきましたが、心を寄せる相手もできて、
片恋だったけれど、色恋を経験出来、小夜(さよ)は満足です。

 嫁ぎ先は万鬼目家(まきめけ)と決まりました。

 先日、万鬼目家当主の使いの鬼が来て、
当主直筆の文を置いて行かれました・・・。


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