神龍と風の舞姫

3年後

「信次様、今度の王即位記念式典ですが…」

分厚い資料の束を持ち、ルノアが信次の向かい側に立つ

「ああ、わかった、わかった。出席するって返答しておいてくれ」

山のように積まれた書類に囲まれながら、信次は面倒臭そうに首を振る

「まったく、隣国でも行くのに1か月近くかかるんだ、なんでまたわざわざ式典なんかに呼ぶ」

仕事はやってもやっても減らないし、隣国はことあるごとに信次や雪斗を招こうとする

その都度顔を出していたのではこっちの身がもたないし

王が国を離れるのはあまりよろしい事ではない

王が不在の時ほど狙われるときはない

家をつぶしたいのか!!と突っ込みたくなるほど頻繁な誘いに王宮一同そろそろ面倒くささが正面化してきている

といっても外交もまた日ごとのうちのひとつ…

最近では雪斗にもいろいろ手伝ってもらっているが、昨今の世界全体の状況が気を置けない日々と隣国とのつながりを作ろうとする情勢を生み出しているように思う

「神龍国とのつながりがあれば、もしどこからか狙われても大丈夫だと思っているのでしょう」

信次の疲れた様子を見て、ルノアの後ろに控えていたユザが言う

「それか敵国除けにされているんだろうな」

世界にあまた存在する国の中でも強国といわれる神龍国

強大な面積と豊かな資源、そして王族が身に宿す”本性”は神に最も近いといわれる神龍



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