秘密の写真
カメラマンがシャッターを切る直前。


彼の手が、私の手に触れた。

驚いて、小さな悲鳴にも似た声を上げると、みんなが振り返って最後列の私を見ていた。


「...すみません」


そう謝る私の隣で、彼がクスクス笑ってる。


もう一度いきます、とカメラマンが言うと、みんなの視線はカメラへと向く。

彼の手が再び私の手に触れるけど、私は、何も言えない。


ただじっと、彼の温もりに耐えるだけ。



違う、耐えるなんて、嘘。


本当は、撫で回すような彼の温もりに、感じてたんだ。
< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop