Octave~届かない恋、重なる想い~
「俺と結子さんの利害関係がぴったり一致することに気付いたんだ」


 その言葉を聞いた途端、私の小さな希望は完全に打ち砕かれたと感じた。

 なぜなら、ほんの少しでも私の事を好きだという気持ちがあったとしたら、出てこないはずの言葉だったから。

 私ではなく、私に付随するモノに魅力を感じて結婚を申し込む、という事にほかならない。

 心の奥がひんやりと冷たくなるのを感じながら、とにかく最後まで話を聞こうと思った。

 たとえ利用されるのだとしても、雅人さんの希望を叶えるための手助けになれるのならそれでいい。

そんな風に考えてしまうほど、私は雅人さんを美化しすぎていたのかも知れない。それほどまでに長い片思いだったのだから。
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