「また来週ね~気をつけて帰るのよ~」


最後の生徒を見送っていたその時、その人が私の前に現れた。



「すみません・・・・・・」



ネクタイを緩めたスーツ姿のその人は、薄汚れた楽譜を差し出し言った。



「僕にもこの曲弾けるようになりますか?」



「your song」と書かれたその楽譜はとても使い古され、弾き方を表した書き込みが所々に記されていた。



「はい。1曲弾けるようにレッスンするコースもございます」


「そうですか。よかった。僕にこの曲を教えてください」



その人はほっとした顔になり微笑んだ。





その日から1日おきのピアノレッスンが始まった。