カゼヒキサン。
中学入ってすぐの時、あたしは海斗と隣の席になった。

人見知りで話しかけられなかったあたしに大きい手をさしのべて

「よろしくな!」

そういって笑った海斗の笑顔。

あったかい手。

あたし、その手が今でも大好きなんだよね…。

手がね。


キーンコーンカーンコーン

我にかえる。


「瑞希、次数学だけど?」

「え!?」


なんの迷いもなく、国語セットを出したあたしって一体…。
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