~3時間後~
「映画おもしろかったな!」
俺たちが映画館を出た時には、うっすら空が暗くなってた。
「あんときの主人公のドジっぷりにはウケたよまじで!」
映画が思ってたより面白くて、俺は感想を言いながら歩いた。
瑞希は無口に歩いた。
それから俺らはあまり言葉を交わさず
静かに街中を歩いた。
やがて瑞希の厚底靴の足音が聞こえない事に気づき
後ろを振り向くと
そこには瑞希がいなかった。
「瑞希…?」
そして思いだしたんだ。
瑞希が病人だったという事を。
「…っ!」
自分のバカさと悔しさが心の中に溢れる。
「瑞希!!!!!」
俺は街の中を 人ごみの中を
日の沈む夕方
一人の女を探すために走った