二.






───日が落ちてくればそれと同時に影も色濃く伸びていく。空気も徐々に冷えてきたことに気づいて障子を閉じれば風がやんだ。


「………そろそろ机も畳んじゃって平気なのかな」


ちいさくひとりごちて、振り切る。

子供達のいないこの部屋は長机があってもどこか殺風景で広すぎるようにも思えた。


障子のわずかな隙間から差し込んだ陽が畳を照らす。

そこに視線を落とせば思い出すのは今日来た時のことで、昼間はこんなところに彼がひとりでいたのかと思うとなんだか胸に何かがもやもやと込み上げるような感じがした。



「………?」


ふと、ぱたぱたと珍しく早めの足音がして紺青の着物を身に包んだ彼を思い浮かべた私は、どうしたのだろうかと音の方へと視線を移した。

私の名を口にしながら顔を出した予想通りのその姿に探し物の手伝いかと当たりをつけてみる。


「桔梗?まだいるかい?」

「あ、はい。ここに」


陽を遮るように障子をしっかりと閉めた私は彼の元へと歩み寄る。


「嗚呼良かった。やはり此処にいたのか」

「…ええと。私を探していたの?」



続けられたその言葉に首を傾げて問い返す。肯定の言葉を告げた彼が探していたのはどうやら私だったらしい。


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